"何だ…今日は?"
一部の生徒を除いてはいるけど、登校してからやたらと質問されている。
ハッキリとした物言いでも名前が出るわけでもないけど…
「彼女と知り合いなのか?」
「いつから?」
「何話してたんだよ?」
「よりによって何でお前…」
そう聞かれる内容に、きっと彼女“月瀬紫音”のことだと思って答えようとすれば、
「やっぱいい。何も聞きたくない」
と、口裏を合わせたかのように揃いも揃って俺の前から去って行くヤツら。
訳がわからない。
「ハァ………わかんね」
俺がこぼした声に、今まで我関せずだった七聖が反応した。
「知らないって、ある意味罪だな」
「は?」
七聖の唐突な含みのある言葉に聞き返すと、
「花姫」
「花姫?」
聞き慣れない単語に思わず繰り返してしまった。
クククッと笑った七聖。
「昨日の放課後からすげぇ早さで噂になってるよ、お前」
七聖はさっきの単語を説明するわけでもなく、楽しそうに笑い続けている。
「だから何のことだよ?」
ついイラッとした口調になったのは仕方ない…?
「そんなイラつくなって。
…昨日煌暉が話してた彼女…月瀬紫音」
「!?」
七聖の口からその名前が出たことに驚いていると、そんな俺を見て七聖がまた笑う。
「ハハッ 知らないの煌暉ぐらいじゃね?
中等部はおろか、高等部でも有名だよ、彼女。本人はまさかの自覚なしの超鈍ちゃんだけどね。
昨日も朝から彼女の噂で持ちきりだったのに……あー、煌暉はそれどころじゃなかったか」
七聖の淡々とした口調で話される内容に思考が追いつかない。
でも昨日、やけに騒がしかったことには理解出来たけど、
「ちょっ…待って。彼女が何なの?それに花姫って?」
俺がやっとの思いで出した言葉に、七聖が一瞬呆れた表情になる。
「彼女と話したんならわかるよな?
“声と容姿”。一度聞けば、見れば、彼女の虜になるヤツは多い。それは男女関係なくね。
だけど近づかないし、近づけないのは、親友の佐生碧(さそうあおい)のガードが固いのもあるけど…
…大半は彼女自身が出す雰囲気によるもので、そんな彼女を花を愛でるように遠巻きにしてることからついた名が“花姫”」
七聖の説明した彼女を取り巻く環境に衝撃を受けた。
「よく、一線越えられたな」
「………一線って……」
「まぁ、お前だから近づけたのかもな。いろんな意味で。
……マジに惚れた?
煌暉が自ら動くなんて初めてじゃないの?」
俺の心を見透かすように、七聖の真剣な眼差しか俺を捕らえてくる。
"何コイツ……もしかして彼女と接触すればこうなることわかってたんじゃ……
…まさか、仙ちゃんも?"
呆然としている俺に、一変して七聖の表情が和らいだ。
「昨日の今日で見つけるとは思わなかったな。
泣かすなよ。俺のイトコ」
"……………は?"
「はぁ!?」
何か今さらっと……
「あれ?言ってなかったっけ?
超絶美人のイトコがいるってこと」
「聞いてねぇよ!!」
とんでもないその爆弾発言に、愕然とする。
数年つるんでるのに、そんなことを欠片も見せなかった七聖。
時々、掴み所のなさを感じることはあったけど…
さらに底の見えなくなったその性格にゾクリとした。
もちろんそんなことを思っている俺にはかまわず、爆笑し続ける七聖。
"ていうか……七聖の大事にしてる女って……"
昨日の昼休みのことをふと思い出して、
"やりずれぇ……"
と、俺は心の中でつぶやいた。
一部の生徒を除いてはいるけど、登校してからやたらと質問されている。
ハッキリとした物言いでも名前が出るわけでもないけど…
「彼女と知り合いなのか?」
「いつから?」
「何話してたんだよ?」
「よりによって何でお前…」
そう聞かれる内容に、きっと彼女“月瀬紫音”のことだと思って答えようとすれば、
「やっぱいい。何も聞きたくない」
と、口裏を合わせたかのように揃いも揃って俺の前から去って行くヤツら。
訳がわからない。
「ハァ………わかんね」
俺がこぼした声に、今まで我関せずだった七聖が反応した。
「知らないって、ある意味罪だな」
「は?」
七聖の唐突な含みのある言葉に聞き返すと、
「花姫」
「花姫?」
聞き慣れない単語に思わず繰り返してしまった。
クククッと笑った七聖。
「昨日の放課後からすげぇ早さで噂になってるよ、お前」
七聖はさっきの単語を説明するわけでもなく、楽しそうに笑い続けている。
「だから何のことだよ?」
ついイラッとした口調になったのは仕方ない…?
「そんなイラつくなって。
…昨日煌暉が話してた彼女…月瀬紫音」
「!?」
七聖の口からその名前が出たことに驚いていると、そんな俺を見て七聖がまた笑う。
「ハハッ 知らないの煌暉ぐらいじゃね?
中等部はおろか、高等部でも有名だよ、彼女。本人はまさかの自覚なしの超鈍ちゃんだけどね。
昨日も朝から彼女の噂で持ちきりだったのに……あー、煌暉はそれどころじゃなかったか」
七聖の淡々とした口調で話される内容に思考が追いつかない。
でも昨日、やけに騒がしかったことには理解出来たけど、
「ちょっ…待って。彼女が何なの?それに花姫って?」
俺がやっとの思いで出した言葉に、七聖が一瞬呆れた表情になる。
「彼女と話したんならわかるよな?
“声と容姿”。一度聞けば、見れば、彼女の虜になるヤツは多い。それは男女関係なくね。
だけど近づかないし、近づけないのは、親友の佐生碧(さそうあおい)のガードが固いのもあるけど…
…大半は彼女自身が出す雰囲気によるもので、そんな彼女を花を愛でるように遠巻きにしてることからついた名が“花姫”」
七聖の説明した彼女を取り巻く環境に衝撃を受けた。
「よく、一線越えられたな」
「………一線って……」
「まぁ、お前だから近づけたのかもな。いろんな意味で。
……マジに惚れた?
煌暉が自ら動くなんて初めてじゃないの?」
俺の心を見透かすように、七聖の真剣な眼差しか俺を捕らえてくる。
"何コイツ……もしかして彼女と接触すればこうなることわかってたんじゃ……
…まさか、仙ちゃんも?"
呆然としている俺に、一変して七聖の表情が和らいだ。
「昨日の今日で見つけるとは思わなかったな。
泣かすなよ。俺のイトコ」
"……………は?"
「はぁ!?」
何か今さらっと……
「あれ?言ってなかったっけ?
超絶美人のイトコがいるってこと」
「聞いてねぇよ!!」
とんでもないその爆弾発言に、愕然とする。
数年つるんでるのに、そんなことを欠片も見せなかった七聖。
時々、掴み所のなさを感じることはあったけど…
さらに底の見えなくなったその性格にゾクリとした。
もちろんそんなことを思っている俺にはかまわず、爆笑し続ける七聖。
"ていうか……七聖の大事にしてる女って……"
昨日の昼休みのことをふと思い出して、
"やりずれぇ……"
と、俺は心の中でつぶやいた。