領とちひろは時々メールを交換した。

だいだいは、領から深夜に今夜は何を食べた、何をしたなんてたわいのないメールがくる。

ちひろは会えないけれど、それだけで十分だった。

だって相手は注目のアイドル。

好きなのに、恋をしているのに、正直どう接していいか解らなくなるときがある。

でも、毎日が楽しかった。

「なぁ、最近さぁ、領のやつよく携帯さわるようになったと思わないか?」と楽屋で直人が言った。


「あれは女だぜ…」昌也はふざけて答えた。

「聞いてみよっか?」と孝太がいった。

領はヘッドフォンをして曲を聞きながら、仰向けに寝転んでいた。


一番年下の領から女性の影を感じて、みんなからかいたくなったのだ。

3人で顔を見合わせ、領に飛び乗り羽交い締めにした。

「なっ、なんだよー!」


「領くん、彼女できたの?」と昌也がいった。

「彼、女、なんていない。」

「正直に答えなさい。」と孝太がいった。

「いないいない、やめてくれよ。」

「携帯よく触るから彼女かな?って思って…」と孝太。

「友達、大阪のな!」


昌也と孝太はがっかりしたが、直人は領に笑みを浮かべた。