領は八坂神社の鳥居の前に15分後に着くと言った。

私もすぐに向かった。

ちょうど紺色のキャップを深めにかぶった彼がタクシーから降りた。

顔を上げて少し離れた私に笑いかけてくれた。

すごくうれしいかった。

はずかしそうに
「京都は暑いですね。今日は案内してください。」

「はいっ。じゃあご飯にしましょう。」と言い私たちは歩き出した。

以前、友人と行った店で夕食を食べた。
会うのは三回目、自然に話せた。その時メールアドレスを教えてもらった。

そのあと、お店を出て行きたかった場所へむかって歩いた。

「今からどこへ行くの?」

「私も行ったことがないんです。芸事や人の縁を結ぶところって本に書いてて、ここから近いんです。」


彼は笑った。いつものように言葉は少ないけれど、とてもやさしく話を聞いてくれる。

小さな路地では人通りも少なく時々ふれる腕、初めて2人で町を歩いて嬉しかった。

少し先に見えてきた。
そして小さめの鳥居をくぐったら、中には大きな石があった。
表側には縁を結ぶ願い事が紙に書いて、たくさん張り付けてあった。

裏側には縁を切る願い事が張り付けてあった。