さっきまで寝ぼけていた私の顔はみるみるうちに青ざめ、そして眠気なんか吹き飛ぶくらいの情報が目に入る。
「8時10分んんん!?!!」
私はあわててベッドから飛び降り、急いで支度をする。
その様子を見て横にいた母が私に喋りかける。
「夜遅くまで携帯いじってたからこうなるのよ!」
「うるさいなぁ!!起こしてくれてもよかったじゃん!?」
「まさか寝てると思うはずがないじゃない!」
「あー!もう、うるさいなぁ……!!!
時間ないから喋りかけないで!!」
買い言葉に売り言葉が飛び交う。
いつもならもっと会話が続いてもおかしくないが、今日はいつもとばかり状況が違う。
私は急いで準備をし、家を出る。
「最悪、最悪ーーーー!」
走りながら、私はそう呟く。
本当に最悪だった。
まだ、普通の日に遅刻だけなら少々は大丈夫だ。
でも、今日は高校の入学式。
つまりは、この初日から遅れて来て入るということはそれと同時に新しいクラスの皆からはあまりいい第一印象はうけないということになる。
私は、できるかぎりの全速力で学校へと走った。