きみのためのプレゼント

私は彼のように大切な友達を一番辛い形で亡くしたことはないけれど、想像するだけでその喪失感は計り知れない。昨日はああ言っていたけれど、やっぱり傷ついた心や辛さは一生消えることはないのだろう。


「眉間に皺、寄ってるよ。光の話、聞いたからって気を遣わなくていいんだよ」


「もう、こんなとこで触らないでよ」


「えっ?じゃあこんなところじゃなかったらいいの?」


電車のドアに映った私の、眉間の皺を後ろから触る彼。それが思いっきり映ったのが恥ずかしくて、そう言うと余計に恥ずかしい言葉を返された。「知らない」と返すと今度は後ろから笑い声。


そういえば、彼は最初からすぐに私に触れようとしていた。最初は、触られることが嫌だったのに、今では嫌というよりは恥ずかしいけれど嬉しい。


「・・・ハルがね、言ってたんだ。今日の大会で記録を残して、先輩に告白するって」


「そうなんだ。で、沙織にそれを見届けてほしいってこと?」


彼の口から「沙織」という私の名前が紡がれただけで心臓が跳ねる。それでもそんな自分に気づかれたくなくて冷静を装う。

内心は、ドキドキが止まらないけれど。


「うん。きっと、前の私なら、記録を残して告白なんて、ふざけるなって思ってたと思う。でも、今は素直にそれも一つの原動力なんだなって思うの。がむしゃらに頑張るよりも自分を奮い立たせられる気がする」


「沙織がそんな風に言うなんて、本当にびっくりだな。最初の頃は、こーんな風に目がつり上がってたのにさ」


「ちょ、ちょっと、そんな顔してないってば!」