きみのためのプレゼント

「しかもさ、亡くなったことを知ったのが全部終わった後。しかも人づてで聞いたんだ。俺、最期の別れも出来ず、ただ、もうあいつがいないという現実だけを受け入れなきゃいけなかった」


光は死んじゃいけない人間だった。優しくて、笑顔がトレードマークで、人の痛みを自分に置き換えて考える本当に愛情に溢れた人間だった。そう彼は話す。時折、声を詰まらせながら。


今まで、こんな弱った姿の彼を見たことがなかったような気がする。だから今は、すごく私が守ってあげたい。


「なんで、あんなメールを送ってきたんだろうって、ずっと考えたよ。『これからもよろしく』なんて遺された俺は、本当に辛かった」


「うん、うん」



ハルが突然、自殺をしたなんて考えたくないけれど、きっともし、そんなことをすれば、私は一生ハルを苦しみから救うことができなかった、一番辛い選択を選ばせたくなかったと自分を責め続けるだろう。


今の藤本くんのように。


「なんで、次の約束をしなかったんだろう。あいつの好きな野球でも、見に行く約束をすれば良かった。花火大会に誘えばよかった。楽しい予定があれば、死ぬことなんてなかったんじゃないか。メールなんかじゃなくて会いに行っていればって後悔ばかりした」


でも、どんなに後悔しても光にはもう二度と会えない。それに、あの日に戻ったとしても俺には光の死を止めることはできなかったと思う。


その藤本くんの言葉に、ハッとした。彼があの日、私に言ってくれた言葉。


「あの時の君を救うことが出来たのは、君が本当に願う人の言葉だけだったと思う」