きみのためのプレゼント

当然、部活にも身が入らず、ボロボロ。それでも、最後までやり通し、一番最後までグラウンドに残る。


これは私のずっとやり続けてきたこと。


まだ答えが出ないまま、時間だけが過ぎて行く。藤本くんは来ているのだろうか。

そんなことを思いながら、部室に戻ろうとしていると、部室の前に溝上先生と数名の女子部員がいるのが見えた。


溝上先生はこんなボロボロの私にも、「大丈夫。誰にでも伸び悩む時期はある」といつも励ましてくれた。


頭をくしゃくしゃと撫でてくれる大きな手、少しハスキーな声。悩み相談を聞いてくれる優しさ。


外見はイケメンというわけではないけれど、私は溝上先生に密かな恋心を抱いていた。

だから、もし今からまた、部室に戻る私を先生が一言でも、励ましてくれたならあの場所には行かない。


先生がいてくれるから、私はまだギリギリの状態を保っていられる。


でも、その希望は一瞬にして、音を立てて崩れていった。