きみのためのプレゼント

今まで、友達がいなかったわけじゃない。どちらかというと幼稚園なんて、クラス全員の子が友達かというくらい、みんなと仲良しだった。


でも、女同士のグループというものが好きじゃなくて、年齢を追うごとに自分を偽り続けた。楽しくもない話に相槌をうち、言いたくもない陰口に同調する。


それでも、そんな風に付き合っていたのは、一人が怖いものだと思っていたから。そんな私が、出会ったのが陸上。


走ることの楽しさや爽快感。一人でも十分満たされる感覚を覚えたからこそ、自分に無理をしなくなった。


『陸上』を通じて、知り合った友達もいた。彼女なら無理をしなくても付き合えると思っていたのに・・・裏切られた。


だからもう誰もいらない。


一人でも好きなことができるなら十分。だから、集団行動なんてしたくない。そうしているうちに、今度は誰かを信頼したり、頼ることが出来なくなった。


「女子って、めんどくさいものね。でも、友達っていいものよ。それに、岡部さんはあなたを必ず支えてくれると思うの。だって、彼女、あなたのことが好きなんだと思うから」


好き?どうして、私のことを?だって、私、むしろ彼女に敵意を持って接していた。挨拶も話しかけられても無視をしていたし、溝上先生に気に入られていることも悔しかった。


私の場所も彼女に奪われて、私は彼女のこと、嫌い、だった。


「それに、藤野さんも岡部さんのこと、好きでしょ?」


「・・・わかりません。でも、彼女が私を気にかける理由は知りたいです」