きみのためのプレゼント

「なら仕方ないよな。だって、俺たち普通だし」


「・・・頭の中はイかれてるけどな。特に、先生。気分が悪いので二度と彼女の前でその言葉を口にしないでください。それとこのエレベーターは彼女のためのものではありません。備品です。使わせない理由にその言葉を使うのは彼女に対して、失礼だと思いませんか?」


藤本くんは、ずっとこんな差別をされてきたのだろうか。それでも、凛とした姿や笑顔を見せられるのはなぜだろう。


藤本くんの言葉に、先生も男子生徒たちも黙り込んだ。彼はずっと、こんな言葉に傷ついてきたんだ。


「藤本くん、もう行こう」


私も傷ついた。正直なところ、メンタルはそんなに弱くないと自分では思う。クラスで浮いていても、特に何も思わなかったし、部活で一匹狼でも、そのほうが楽だと思うくらい。


でも、今はそんな風には思えない。
悪意のある言葉は、私から思考を奪った。


でも、そんな私なんかよりも藤本くんはもっと傷ついたはずだ。普段言われているかもしれない差別用語を目の当たりに聞かされたのだから。