きみのためのプレゼント

「あれ?どうしたの?足、痛む?」


私の視線に気がついたのか、さっきまでの冷たい眼差しから優しい眼差しに変わり、私を見つめる藤本くん。

どうして、私にだけこんなに優しい眼差しをくれるのだろう。それが分からなくて彼の問いかけに首を振ることしかできなかった。


「あーあいいよなぁ。エレベーター。俺も乗りたいよな」


「わかるわかる。汗だくだしさ、ダルいよな」


エレベーターの前に着くと、後ろから男子生徒らしき二人組の声が聞こえてきた。


「お前ら、とっとと教室に行け。遅刻するぞ」


「先生、俺らもエレベーター乗せてくれよ。汗だくで今から四階まできついって!」


あまりいい流れではないから、妬みだろうか。でも、その気持ちは分からなくもない。私だって、朝練の後、何度このエレベーターを羨ましいと思ったことか。

でも、今は自分が妬まれる側。不思議な気分だった。先生の言葉を聞くまでは。


「あれはな、障害者のためのものだからダメに決まってるだろ!」


耳を疑った。あまりにも腹のたつ言葉に後ろを振り返り、睨みつける。


どの、先生が言ったんだ!仮にも教壇に立つ人間が、差別用語を口にするなんてありえなさすぎる。