きみのためのプレゼント

学校に着くと、私が懸念していたように、やはり、聞こえてくる陰口。藤本くんの人気者ぶりは変わらない。

それどころか車椅子に乗っているわけではないので、モテ方もすごかった。正門をくぐった後の女子の黄色い声と睨む視線。正直、こういう嫉妬は面倒くさい。


「なんで、あの子と翔平くんが一緒なの!」


時には聞こえるように言い放つ女子たち。本当に面倒くさい。当の本人である藤本くんはそんなこと気にも止めず、私の車椅子を押し続ける。


「藤野さん、大丈夫?気分悪いとかはない?」


「それは大丈夫。でも、みんな見てるけどいいの?」


「そんなの関係ないよ。それより、気分が悪くなったり足の痛みが酷くなったらすぐに連絡して」


周囲の目なんて気にもとめず、藤本くんはそのままエレベーターへと突き進んでいく。途中、何人かの女子が「おはよう」と彼に挨拶をするも、軽くあしらう。この対応は正直、驚いた。


「藤本くん?いいの?あんな風に素っ気なくして」


「面白いよね。昨日までは『車椅子だから無理』だと恋愛対象から除外されてたのが、今では『車椅子じゃないから恋愛対象』になってるのが、目に見えてさ」

藤本くんは今、どんな表情を浮かべているんだろうと振り向くと、自分を色目で見ている女子たちを軽蔑するような冷たい眼差し。


私が見てきた彼は一体何だったんだろうというくらい別人すぎる彼に、戸惑いを覚えた。