きみのためのプレゼント

目を丸くして驚く藤本くん。そんなに驚くようなこと、私、言った覚えないけど。だって、誰だって願いが叶ったら嬉しくて喜ぶもの。

私だって、もうタイムに縛られることもない。そう思うだけでホッとしたし、嬉しい。


「あっ、それともまだ、足の感覚になれない?まずは、歩いてみたらどう?」


「・・・こうなった以上、藤野さんにはちゃんと説明しなきゃいけないね。俺の足のこと」


彼は、そう言った後、自分の足のことを私に分かりやすいように一から説明してくれた。


「俺の足はね、原因不明なんだ。小学六年のときに突然、足全体に痺れが走って、歩くことが困難になった。だから、困難だけど脊髄損傷や複雑骨折のように全く歩けないわけじゃない」


「歩けるってこと?」


「家では筋肉が衰えないようにつたい歩きをしてたりするよ。でも、本当に歩行困難で基本的には車椅子がほとんどかな」


歩けないわけじゃないけれど、基本的には車椅子。だから彼は歩きたいではなく、走りたいと願ったのか。

だったら尚更、走ってみればいい。


「ねえ、藤野さん。俺がどうして普通科の浦賀高校に入れたと思う?」