きみのためのプレゼント

涙声で、訴えるように翔平が大声を放つも光くんの身体はどんどんと薄く消えようとしている。私だってやっと会えたのに、これで終わりなんて嫌だ。


「翔平くん、僕はもうこの世にはいない。本当なら会ってはいけないんだ。でも、君たち二人にどうしても聞きたいことがあって、それだけを聞きに来たんだ。最後にこれだけ聞かせて?


『二人は、今、幸せですか?』



その質問に、私たちは顔を見合わせた。きっとそれは私たちへの選択肢。光くんは、私たちにそれを伝えるために会いに来てくれた。


今、幸せじゃないと答えるときっと、私たちはそれぞれの足と境遇に戻ることができる。


だから答えはこうだ。


「はい、とても幸せです」



声を揃えて答えた私たちに満足したように、優しく微笑んだ光くんはスーッと消えてしまった。

五分もなかったと思う。ほんの数分しか会話することが出来なかった。それでも、今は会えてよかったという気持ちが強い。


「・・・良かったな。あんな風に笑ってる光に会えて。もっと話したかったけど、会えただけで嬉しい。でも、沙織、本当に良かったの?もう一度走りたいって言ってたのに」


「言ったでしょ?私には目標が出来たって」