きみのためのプレゼント

ゆっくりと目を開けた。目の前には、優しく微笑む一人の少年が立っている。「光」と呟いた翔平は嗚咽を漏らしながらその場で泣き崩れる。

私は、そんな翔平に寄り添ってあげることもできず、ただ光くんをじっと見つめていた。



「翔平くん、ごめんね。たくさん話したいことはあるけれど、僕はもういかなきゃいけない。初めまして【ハナ】。こんな形で会えるとは思わなかった。生きているうちに会いたかったよ」



「ごめんね、ごめんね、【ナナ】。あの日、メールを送ってあげられなくてごめん。あなたを救ってあげられなくて、本当にごめんなさい」



目の前に【ナナ】がいる。【ナナ】と話している。たくさん話したいことがあるのに、今言えることは「ごめんなさい」ばかり。


あなたが男でも女でもどっちでもいい。生きているうちに会いたかった。会ってたくさん話をしたかった。


でも、目の前にいる光くんは、普通の人間ではなく、本当に透けて見える。それは、もうここにいないことを象徴する証拠だ。


「謝らないでよ、【ハナ】ううん、沙織ちゃん。僕は君と出会えて本当に嬉しかった。僕が他の人よりほんの少しだけ、闇に打ち勝つ力が少なかっただけ。むしろ、あの日まで生きれたのは沙織ちゃんと翔平くんのおかげだよ。ありがとう。あっ、もう時間だ」


「待って、待ってくれよ。まだ何も話せてないだろ。光、俺は、お前に言いたいことがたくさんあるんだ」