きみのためのプレゼント

「最初、沙織にお墓まいりに行きたいと言われた時は嬉しくて言い出せなかったんだ。だから、十三日に行こうと言った。だけど、ごめん。光のお墓には行けない」


「どうして?行けないなら行けないって言ってくれたら良かったのに」


「ごめん。また言えなくて。光の家は、光のことがあってからすぐに引っ越したんだ。噂になったみたい。でも、それも俺が知ったのは、引っ越した後。だから俺はお墓の場所も知らない。皮肉だよね。親友だと思っていたのに、お墓も知らないなんて」


「ひどい。翔平に何も言わずに引っ越したの?お墓の場所くらい教えてくれたって!」


「俺と光は繋がっていたけれど、俺と光を繋ぐものは『携帯』だけだったから。それに、知らせたくなかったんじゃないかな。噂になったって大家さんに聞いたから多分、公にもしたくなかったんだと思う。だからひっそり誰にも言わず、引っ越したんだと思うよ」


「でも、せめて翔平にはどんな形であれ、教えてあげるべきだったと思う。家の番号を調べるなり、なんなりできたはずだよ」


「・・・そうだね。でも、それは仕方がないからね」



どうして、光のご両親は、翔平に引っ越し先を連絡しなかったのだろう。確かに噂にはなったかもしれない。亡くなり方が亡くなり方だから。

だから、引っ越しも頷ける。だけど、家にまで来てくれた翔平に教えることくらい、出来たと思う。それすらしないなんて。