きみのためのプレゼント

「もらったときに、光が言ってたんだ。渡せるはずはないけど、【ハナちゃん】にも買いたいと思ったから買ったって。俺とお揃い?って思ったけど今は良かったな。こんな形で沙織とお揃いのものが持てるなんて思わなかったけど」


「本当だね。知らない人同士をお揃いにするなんて、光くん、面白い。でもだからこそ、彼が私たちを引き合わせてくれたのかな」


「そうかもね。でなきゃ同じ高校なんてありえないもんな」


普通に考えたら、不思議なことだけれど、もうそれ以上にありえないことが起こってる。だからかな。


これも光くんからのプレゼントなのかとすんなりと受け入れることが出来た。



「俺さ、沙織の名前聞いてたからすぐに【ハナちゃん】が沙織だって知ってたんだけど、一年以上も声、掛けられなかったんだよね。目では追ったりしてたんだけどさ」



「・・・ごめんね。あんなひどいこと言って」


「いや、俺こそごめん」


どちらとも、それから少し口を開かなかった。聞こえてくるのは、蝉の声だけ。公園だというのにこの猛暑のせいか、子どもの姿もない。、

先に口を開いたのは、私のほうだった。


「そろそろ行こうか。お花やお供え物も買わなきゃいけないし、遅くなっちゃう。それと、教えてくれてありがとう。突然連絡をくれなくなった【ナナ】のこと、ちゃんと聞けて良かった」