きみのためのプレゼント

私たちが家を出る頃は、一番日差しが眩しくて、一番暑い時間だった。だからか汗を拭っても、拭っても止まらない。


私が自分で車椅子を長い距離でも動かすことができたらいいのに、まだ始めて間もない。結局、後ろから翔平に押してもらう。



「翔平、これ良かったら使って。いつもお世話になってるお礼に買ったの」


ハンカチでも追いつかないほどの汗。少し、休憩しようと声を掛け、自動販売機で飲み物を買い、道中にあった、屋根もあって日陰になっている公園のベンチに座ることにした。


慣れた手つきで車椅子から私を、ベンチに下ろしてくれた翔平。そして私の隣に彼も座った。二人ですぐにペットボトルを開けてお茶を飲む。翔平はコーラ。一気飲みする喉仏にドキッとしたのは内緒。


また滴り落ちる汗を腕を拭おうとしたので、私は鞄からプレゼント包装した包みを彼に渡した。


「えっ?でも、俺何も用意してないのに、いいの?」


「大したものじゃないから、それにすぐ必要なだと思う」



申し訳なさそうな顔を浮かべて、包み紙を開ける彼。私が翔平にプレゼントしたものはタオル。

白地のタオルにアクセントとしてイルカが描かれている。この間、お母さんとショッピングモールに出かけたときに、偶然見かけて買ったもの。



「イルカだ!ありがとう」



「光くんのブログに書いてあったんだ。『イルカ好きの友達』って。マグカップもやっぱり翔平のものだったんだね?中学の遠足のお土産とか書いてた。だから持ってきたの。後で、ちゃんと返すね」



「・・・違うんだ。それは、【ハナちゃん】に買ったもの。だからビックリした。まさかそのマグカップを持ってるなんて思わなかったから」


「私に?私のためにマグカップを買ってくれてたの?」