「あら、藤本くん。とりあえず中に入って。出かける前に手当てしなきゃ」
玄関先でガヤガヤとしていた声が聞こえてきたからか、スリッパをパタパタ鳴らして、お母さんがキッチンから走ってきた。
チラリと私を見る翔平。私が頷くだけの合図を送ると、すみません、お邪魔しますと靴をぬいだ。
お母さんの後に、翔平、そして充。私は一番後ろ。ふと、足元を見ると、いつもは綺麗な翔平のスニーカーがボロボロになっていた。なんだかそれがとても愛おしく思えて仕方なかった。
彼の努力の証を目の当たりにしたことと、会えた安堵感でまた涙。私は、こんなにも涙もろかったんだろうか。
知らなかった、彼に出会うまでは。
「じゃあ、行ってきます」
彼の手当てをお母さんが済ませ、軽くお茶を飲んだ後、私たちは出かけることにした。翔平の自転車は置いておくことにして。それにしても、自転車も傷だらけ。
本当にたくさんつまづいて、転んだんだな。 充が、今度、自転車の乗り方教えてあげるよなんて、翔平に言うもんだからこついたけれど、そんな充にも翔平は笑顔で言った。
「ありがとう。よろしくお願いします、先生」
玄関先でガヤガヤとしていた声が聞こえてきたからか、スリッパをパタパタ鳴らして、お母さんがキッチンから走ってきた。
チラリと私を見る翔平。私が頷くだけの合図を送ると、すみません、お邪魔しますと靴をぬいだ。
お母さんの後に、翔平、そして充。私は一番後ろ。ふと、足元を見ると、いつもは綺麗な翔平のスニーカーがボロボロになっていた。なんだかそれがとても愛おしく思えて仕方なかった。
彼の努力の証を目の当たりにしたことと、会えた安堵感でまた涙。私は、こんなにも涙もろかったんだろうか。
知らなかった、彼に出会うまでは。
「じゃあ、行ってきます」
彼の手当てをお母さんが済ませ、軽くお茶を飲んだ後、私たちは出かけることにした。翔平の自転車は置いておくことにして。それにしても、自転車も傷だらけ。
本当にたくさんつまづいて、転んだんだな。 充が、今度、自転車の乗り方教えてあげるよなんて、翔平に言うもんだからこついたけれど、そんな充にも翔平は笑顔で言った。
「ありがとう。よろしくお願いします、先生」

