きみのためのプレゼント

ハルには、隠し事をしたくない。さすがに入れ替わりの話は出来ないけれど、【ナナ】の話、光くんの話、そして翔平との話も全て話した。


ハルは涙腺が崩壊して、私もそれを見てもらい泣き。一緒に泣いてくれる人がいるのは本当に心強い。ハルも私を支えてくれている一人。



「さあちゃん、それなら尚更、自分の気持ちに正直になったほうがいいよ。藤本くんのこと好きなんでしょう?」



ハルの言葉、いつもならはぐらかしたり、否定するけれど、もうそんなことはしない。大きく首を縦に振った。


私は、翔平のことが好きだ。優しくて、友達思いで思いやりに溢れた彼のことが大好きだ。だけど、私は彼を傷つけた。



「さあちゃん、誰だって傷つけたり、傷つけられたりするもんなんだよ。でも、やり直すことだって、できる。だってそうやって学ぶもんだからさ」



「でも・・・私は、翔平に・・・」



「さあちゃん、さあちゃんは藤本くんにまだ何も伝えてないよ。ちゃんと伝えなきゃ、伝わらない。光くんは背中を押してくれてるじゃない?」



『彼とハナがうまくいけばいいな』光くんがくれた、最高のはなむけの言葉だよ。とハルが言ってくれた。だから、私はその二人のエールを胸に、翔平に伝えようと思った。



だからか、いつもよりも緊張している。翔平に会うのはもちろん。私から気持ちを伝えるなんて出来るのだろうか。それでも、決めたからには伝えたい。


約束の時間五分前。私は車椅子に乗り、リビングで待っていた。翔平からの連絡はない。どうしたんだろう。お花やお供えは一緒に買おうと言っていたし、寄り道をしているわけではない。


だとすると、何かあったのだろうか。