きみのためのプレゼント

『今日、友達と野球観戦に行った。彼は、足が不自由であまり外に出たからなかったけれど、本当に花火が綺麗だから見せてあげたくて誘った。車椅子だからとすごく気にしてたけれど、行った後は喜んでくれてたし、これからも誘おう』



『学校が違っても、ブログを読んだけど何かあったか?と気にかけてくれる友達。本当に感謝してる。僕にはいい友達がたくさんいるな。彼とハナがうまくいけばいいのにな』



【ナナ】はこんなことまで思っていてくれたんだ。それなのに、私は全部台無しにしてしまった。私、翔平に「嫌い」って言ってしまったんだ。翔平の言葉も何も聞かず。


私、全然、変われていない。【ナナ】の時と同じだ。一方的で自分勝手で、翔平の気持ちなんて全然考えてない。ごめん、ごめんね翔平。



八月十三日。私はあの日以来、初めて翔平に会う。私から勇気を出してメールを送った。


いろいろ話したいことはあるけれど、それよりもまず光くんのお墓まいりに行きたいので連れて行って欲しいと。


それから三日後、翔平から十三日の十二時に迎えに行くと連絡をもらった。


夏休み、何も予定がなかったわけじゃない。ハルの競技大会の時に見つけた目標のために、少しずつ動き始めた。


まだ全然だけど、一歩は踏み出した。



ハルとも会って、話をした。どうやらあの三浦先輩は、同じ中学の先輩だったらしい。「私、てっきり同じ部活に三浦先輩がいるのかと思ってた」とうまく勘違いを伝えると、「いるけど、違うから!」と全力で否定された。


「三浦先輩と付き合うことになったんだ」


否定の後、幸せそうに報告された。でも、ハルは部活、三浦先輩は受験。二人の前には大きな壁が立ちふさがって、なかなかデートもできないらしい。


ただ、それでもお互い、自分の目標に向かっての支えにはなっているから、それはそれで十分なんだと言っていた。



私が光くんの支えになっていたのなら、今度は光くんの遺してくれたあのブログを、辛い時や落ち込んだときには読み返そう。


自信を失くしたときには、きっと私を支えてくれる。