きみのためのプレゼント

「・・・俺、沙織の走る姿が好きだって言ったよね?それ、もちろん俺の本心だよ。でも、それに気づかせてくれたのは、光なんだ」


「光の思い人は、沙織だったんだ」翔平の言葉に、目を思いっきり見開いた。彼は何を、言ってるんだろう。光くんの思い人が私?


「ま、待って。私は光くんのことを知らない。面識もないよ」


「うん。でも、【ナナ】のことは知ってるよね?【ハナちゃん】」


【ナナ】その名前に、聞き覚えがあった。中学のときに、たまたま流行っていたSNSで、同い年の隣の区の中学の陸上部の子と知り合った。ハンドルネームは【ナナ】でも、ナナは女の子だったはず。



「光は、ハナがナナのことを女の子だと勘違いしていることに気づき、自分が男だと言えなかった。ハナと交わすメッセージやメールのやり取りが楽しくて仕方なくて、言い出すことが出来なかったんだ」


「嘘、嘘でしょ?だって、写メだって交換した。嘘、嘘」


翔平の突然の告白に、動揺が止まらない。光くんがあんなにも仲良くて毎日のようにメールを交換し合っていたナナだなんて信じられない。信じたくない。


だって、もしそれが本当なら・・・