きみのためのプレゼント

競技大会から帰る人たちが何事かと振り返ったり、コソコソと話す声が聞こえてくるけれど、そんなの関係ない。


今、ハルの落ち込んだ辛い気持ちを救うことが出来るのはこの人だけなんだ。


「俺からもお願いします。沙織は今の岡部さんの気持ちがわかるんだと思います。あなたじゃなきゃ岡部さんは救えない」


大げさかもしれない。でも、大げさかもしれないでちょうどいい。それを私も翔平も分かってる。だからこの人が私たちの思いを汲み取ってくれるまでは引き下がるわけにはいかない。


「・・・わかった。岡部にはメールしてたらいい?それとも、直接のほうがいい?」


「会って、顔を見て話をしてください」


「わかった。終わったら会いたいからって連絡しておくよ。岡部、君たちみたいないい友達ができてよかった」


「ありがとうございます」と翔平と二人で頭を下げた。やった、やった。ハル、きっとたくさん落ち込んでるに決まってる。


絶望に打ちひしがれているかもしれない。辛くてやめたいって思うかもしれない。誰かに責められるかもしれない。自暴自棄になるかもしれない。


でも、きっとあの人が救ってくれる。あの人の言葉がハルに一番届くと思うから。