きみのためのプレゼント

結局、ハルに声をかけることもできないまま、競技大会は終わった。そして帰り道、私たちを追い抜く同じ高校の制服を着た人たち。あの人たちも陸上部の応援に来ていたのだろうか。



「三浦、せっかく来たのに残念だったな。来てほしいって言われたんだろう?岡部って後輩に」


「ああ。でも仕方ないよな、帰るか」



そんな会話が耳に入って、ハッとした。もしかして、私が思っていた陸上部の三浦先輩とハルの好きな三浦先輩は違う人?



去っていく後ろ姿を見送っていたけれど、もし、私が間違えていたのならハルが今、望む人は、あの人。



「あのー!待ってください!」


私の声は、届かず振り向いてももらえない。今すぐ追いかけなきゃ。車輪に手をやるとポンと肩を叩かれた。



「俺が行くよ。あの二人を追いかけたらいいんだよね?」


一度大きく深呼吸をした翔平は「待ってて」と言い残して、彼らの後を走って追いかけて行ってくれた。


ドキドキと胸が高鳴った。翔平の走る姿を見て。たくさんの人を追い越していく彼から一瞬たりとも目を離したくない。