「これは一体…」
「それは咲花小百合さんの日記ですよ。天草美琴さん?」
 えっ?と振り向くとストレートヘアの綺麗な男性が立っていた。
 女性と見間違えそうな見た目だった。
「えーと、どなたですか?というより、なんで私の名前、知ってるんですか?」
 するとその男性は微笑み、だって、と言った。
「だって、パートナーの名前と顔位、覚えておくべきでしょう?最もあなたには私のデータは渡されてないと思いますけど、ね。」
「……えーと、お名前は…?」
 あぁ、さっきからえーとばかりしか言ってない。
「私の名前は平賀三月です。女性に間違えられることがありますけど、男ですからね?」
 あ、はい。って女性に間違えられるんだ。まぁ、女性のような見た目だけど。
「よろしくお願いします。平賀先輩。」
 そう言った私の顔を見た平賀先輩は微笑んだ。
「咲花さんにも平賀先輩と呼ばれていました。懐かしいですね。あの声を聞けなくなってもう1ヶ月たつんですか……」
 平賀先輩はそう言いながら遠い目をしている。
 夕日に照らし出された横顔はいつだったか見た宗教画の天使のようだ。
「その…咲花さんってどんな方なんですか?」
「…彼女はとても聡明で正義感の強い女性でした。そのせいで殺されたのです。」
「えっ?彼女殺されたのですか?病気で亡くなったって聞いたんですけど…」
「25で病気になるなんて少しおかしいですよ?
彼女は上層部の人に殺されたのです。彼女が解いた、最後の事件のせいで。」