私は先輩方三人のいる会議室に飛び込むように入った。
 飛び込んできた私に驚いたようで、三人同時に叫び声を上げた。
 幾つかの資料が宙を舞った。
「ど、どうしたの?美琴ちゃんらしくn」
「それどころじゃないんです!!あと、ちゃん付けはやめてください」
 零さんの言葉を遮って言った。
「あ、ごめん」
「それはちゃん付けに対しての謝罪か?」
「んな訳ないって。それで?どうしたの?そんなに慌てて」
「ちゃん付けに関してはやめない限り許しません。…いや、その話じゃない!これを見てください」
 持っていた資料を叩き付ける…いや、優しく丁寧に机の上に置いた。
 平賀先輩がビクッとしたのは見なかった事にした。
「これって…11年前の資料だよね?去年のじゃないの?」
「いや…それがですね。去年の資料、なかったんです」
「なかった!?」
 桜さんが乗り出す。
 あまりの勢いの所為で椅子が倒れた。…あれ、キャスター付きのはずなんだけど…倒れるんだ。
 その音の所為でまた平賀先輩がビクッとした。
「はい。最初、年月日・捜査科番号で検索したんですけど、出てこなくて…。それで月日、捜査科番号だけで検索をかけたらこの資料がみつかったんです」
「ふぅ~ん。…あれ?この人、美琴の名字と同じじゃん」
「はい。その…その名前、私の母と同姓同名なんです」
「えっ…?」
 桜さんが固まった。
「でも…何故、そんな昔の資料が見つかったんでしょう…。だって、この第4科って四年前に出来たばかりでしょう?」
「えっ?そうなんですか?」
 クールダウンした私は桜さんの隣に座った。
「ええ。私と零がここに来た時に出来たんです。今では10科までありますけどね。それなのに何故…?」
 私達の間に重い沈黙が流れた。
 だがその沈黙も、零さんの空気の読まない一言で破られた。
「ねぇねぇ。この資料製作者の名前、俺見たことあるんだけど」
「え…?」
 声の主以外の三人は同時に固まった。
 少しの間のあと、桜さんが溜め息を付いて言った。
「何の冗談だ。だいたい、何処で見かけたんだよ」
「俺の父親の墓で」
「……はい?」
「去年、墓参りに行ったとき、父親の墓の隣がこの人の名前だった」
「呆れた。何で名前覚えてたんだよ」
「俺の記憶力嘗めんなよ!」
 キラッとされても困ります。
「あれ?でも、待ってください」
「なんだ?三月」
「今の話の流れだと美琴さんのお母さんはもう亡くなっているってことになりますよね?」
「そうなるが…美琴ちゃん、どうなってるの?」
 もう、ちゃん付けに関してはあきらめるか。
「どうなってるかって…母は11年前に死んじゃい…まし…た…?」
 11年前?
「まさか…?」
「…そうみたいだね」
 零さんの声が小さく響いた。
「天草美咲さんは、君のお母さんはserverに殺された」