「でもまだ彼の意識は戻らないままでね。今も病室で眠り続けている。」
「先生にとって…ただの病人でも…私にとってかけがえのない大事な人なんです…っ」
初めて、特別な大切な人が出来たのに…。
どうして事故なんかで…
失わなきゃいけないのっ??
「ちょっと!!貴方…白衣を掴まないのっ!!ねぇ??せんせ…」
看護師さんが私の腕を勢いよく突き離す。
「そんなに不安な想いを抱え込まなくても大丈夫だよ。彼のことをずっと願っていれば、必ず奇跡は起こるさ。」
「はい…」
「私にとって関わってる全ての病人は大切な人だ。何が何でも最後まで支えていくつもりだよ。」
また歩き出す先生に私はペコッと会釈をした。



