気づいたそれに、私は愕然としながらも、それは私の心の中に、すとんと落ちた。
(怖い、私は、この当たり前が、なくなってほしくない。)
「ん?」
私のかすれた声をちゃんと拾って。
いつものように、加瀬くんが肩越しに振り返る。
ドキ、一際高く跳ねた胸の音に、私だけがどぎまぎとして。
思わず俯いた私を、不思議そうにする加瀬くんの視線に、おそるおそる顔をあげる。
オレンジと、加瀬くん。
きょとんと、心なしかいつもより無防備な加瀬くんの表情。
差し込む夕陽が、黒の瞳にきらめいて。
目を合わせてしまったことに、心底後悔する。
どくんどくんと、せわしなく血が全身を駆け巡る感じがして、うるさすぎるその音に、加瀬くんにまで聞こえてしまうんじゃないかって、変な心配。
なんだか、ほんとに、どうしようもなくなって、ごまかすようにへらりと笑う。
刹那、ぱって目をそらす加瀬くんに、深く心はえぐられる。
あー、なんでこう全部ひとおもいに気づいちゃうんだろう。
ぼんやりとそんなことを思ってみても、仕方ない。
(…好き)
その2文字を浮かべただけで、現金な私には世界が輝いて映る。
