「…立原さん、帰ろ」 カタン、と軽い音を立てて、加瀬くんが立ち上がる。 「うん」 おそろいの音を立てて、同じように教室をあとにする私。 目の前で揺れる真っ白なシャツが、やっぱり眩しい。 ぼんやりと、いつしか当たり前になった彼の隣をみつめる。 (…、なにを考えてるのかな) 歩調の遅い私に気づいたのだろう、速度をゆるめて肩越しに加瀬くんが振り返る。 わずかに揺れる黒の瞳は、ほんの少し不機嫌そうで。 言葉はなくても、読み取れて。 嬉しいような、なんだかな、複雑な気分で彼の隣に肩を並べる。