キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

「どうしたんだよ、急に」


困ったような驚いたような複雑そうな洸輝の顔。


「ごめんね……。やっぱりちょっと調子悪いから……。あたし、帰るね」


「わかった。それなら、家まで送る」


「……大丈夫だから」


「でも……」


「お願いだから、ひとりにして」


そう頼むと、洸輝はしぶしぶ聞き入れてくれた。


「わかった。気をつけて帰れよ?」


「うん……。ありがとう」


笑顔を浮かべようとしたけれど、うまく笑えていなかっただろう。


洸輝と林くんに背中を向けて歩きだしたと同時に、こらえていた感情が一気に涙となってあふれだす。


ふたりに気づかれないように、うつむくことなく正面を向いたまま涙を流した。