「花凛、なんか顔色悪いぞ? 大丈夫か?」
「うん……。大丈夫」
なんとか絞(しぼ)りだすように答える。
「あっ、マジだ。おいおい、奥山大丈夫か~?」
洸輝と林くんが心配そうにあたしの顔をのぞきこむ。
「どっかで休むか?」
「ううん、大丈夫だから」
そう言いながらも、動揺が収まらない。
洸輝のお父さんが……うちのお父さんを裏切ったっていうの……?
「大丈夫じゃないだろ。あっちのベンチに座って休めって」
「いいの。本当に平気だから」
「ダメだろ。こっちに――」
洸輝があたしの腕をつかむ。
その瞬間、頭の中がカッと熱くなった。
「いいから、ほっといて!!」
洸輝の手を振りはらうと、洸輝が驚いたようにあたしを見つめた。



