キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

「洸輝って男の俺から見てもいいヤツだから。それに、こいつって親も社長だし、金持ってんぞ~! 結婚したら玉の輿(こし)だぞ~?」


「あはは……。たしかに玉の輿だね」


テンションの高い林くんに合わせてうなずく。


「洸輝って完璧だよな~。父ちゃん社長で金持ちだし、カッコよくて女にもモテるし。勉強も運動もって……神様もなにかひとつくらい分けてくれてもいいのになー。ズルいよな~」


「いや、俺はお前のその能天気さが欲しいから」


「……ハァ!? 洸輝、お前俺のことバカにしてんだろ」
「してねぇよ。つーか、お前んちは家族多くてにぎやかでいいじゃん。5人兄弟だし」


「いやいやいや、よくないだろ~!? 末っ子の俺なんて母ちゃんに『アンタは絶対女だと思ってたのに』ってことあるごとに言われんだぞ~? たまったもんじゃねぇよ」


林くんと洸輝ってなんだか息がぴったりだ。


ほほえましく思いながら、ふたりの会話に耳を傾ける。