キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

「なんか、飼い主にしっぽふる犬みたいだな」


「い、犬ってあたしのこと……?」


「そう。可愛い小型犬って感じだな」


「可愛い……?」


思わず首をかしげる。


なに? それってどういう意味?


日向くんの『可愛い』の言葉がなにを指しているのかわからずに、微妙な愛想笑いを浮かべる。


「日向、花凛がフリーズしてるから」


「は?」


京ちゃんの言葉に、椅子に座っている日向くんがあたしを見あげる。


「っ……!」


目が合った瞬間、思わず視線を外してしまった。


あぶない、あぶない。


日向くんには、人を惹きつけるような特別な魅力があるって誰かが言っていたけど、本当にその通りだった。


茶色く澄んだ瞳に見つめられると、吸いこまれてしまいそうになる。


これが校内一のイケメンのパワーなんだ。