キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

「そういえばさ、俺ずっと聞こうと思ってたんだけどさ」
「うん」
食べ終えた頃、洸輝があたしの目をまっすぐ見つめた。
茶色く澄んだ瞳に見つめられると、なんだか恥(は)ずかしくて、目をそらしてしまいたい衝動に駆(か)られる。
「花凛って彼氏いんの?」
「彼氏?」
「そう」
「いないよ。今まで一度もできたことないから」
「マジか」


「うん。なんか高2にもなって彼氏できたことないって、少し恥ずかしいよね。最近、まわりの友達もみんな彼氏できはじめてるし少しあせってるかも」


「べつに恥ずかしくないだろ」


フォローしてくれる洸輝。


あたしは一度間を置いてこう尋ねた。


「……洸輝は……彼女いるの?」


「俺?」


「うん」


モテるし、たくさんの女の子から告白されているはずなのに、なぜか洸輝は彼女を作ろうとしない。


「……いる」


「え?」


「彼女、いるから」


サラッと予想外のことを言いはなった洸輝に、目が点になる。



え……。嘘。


彼女……いたんだ。