キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

駅前のファミレスはお昼の時間帯ということもあり、ほぼ満席だった。


少しだけ待ってようやく席に通された。


「ねぇ、洸輝っていろいろ大変でしょ?」


「大変って?」


向かいあって座ったあたしたち。


その隣のボックス席に座っている高校生ぐらいの4人組の女の子が、洸輝を見てコソコソと内緒話をしている。


「どこに行っても注目浴びちゃって」


「いや、べつに注目浴びてないから」


なんてことないように言う洸輝。


「そっか……。意外と慣れるものなのかな?」


あたしにそういう経験はないけど、いつもそうだと慣れてしまってなにも感じなくなるのかもしれない。


少しすると注文したものが運ばれてきた。


洸輝はハンバーグ。あたしはドリア。


「おいしそう」


思わず笑みがこぼれる。


スプーンですくって口に運ぶと懐かしい味が広がった。


父がまだ生きていた頃、家族3人でよくこのファミレスに来た。


あたしはいつも、今食べているのと同じドリアを注文していた。