キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

「わっ、ビックリした」


あわてて画面を見ると、そこには【洸輝】と表示されていた。


たまに電話はかかってくるけれど、休みの日にかかってくるのは今日が初めてだった。


一度大きく深呼吸してから電話に出る。


「……もしもし?」


『花凛、なにしてんの?』


「べつになにもしてないよ」


『マジか。今ヒマ?』


「うん」


『じゃあ、そこにいて』


「え?」


答える間もなく電話が切れた。


そこにいてって言われても、どこにいるか居場所を言っていないのに。


「洸輝はどこにいるんだろう……」


ポツリとつぶやいたとき、「よお」という聞きおぼえのある声がした。


え……? なんで? どうして?


目の前にいる洸輝に目を白黒させる。


「……こ、洸輝!? なんでこんなところにいるの!? あれっ? 今電話……」


「ちょっと驚かそうと思って」


「いつからいたの!?」


「さっき、前から花凛が歩いてきたから手あげたのに、ぜんぜん気づいてなかったから。なんか無視されたみたいで悔(くや)しかったから驚かせてやろうと思って」


洸輝はニッと笑う。