キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

『あれ? 洸輝、弁当持って来たの? つーか、お前の母ちゃんすげぇ料理上手じゃね?』


『マジだ。うまそうじゃん!!』


『だよね~。超おいしそう! あたし、洸輝のお母さんに料理習いたいんだけど~』


『それいいかも!』


男女数人が、日向くんのまわりを取りかこんで騒いでいる。


『ていうか、今日ってお弁当持ってこなくちゃいけなかったんだよ~? アンタたち、お母さんに作ってもらえなかったわけ~?』


すると、いつも日向くんの近くにいる派手な取り巻きの女の子が大声で言った。


あたしはそのとき、コンビニで買ったパンの包みを持っていた。


とっさにクリームパンを隠そうとしたけれど、一歩遅かった。


『いや、べつにそういうんじゃねぇし。つーか、あそこの子も弁当持ってきてねぇじゃん』


あそこの子が、あたしをさしているとすぐにわかった。


京ちゃんを含めて、あたしの近くにいた女子はみんなお弁当を持ってきていたから。


『ねぇ、そういえばさ、あの子って……お父さんいないんじゃなかったっけ? お母さんが働いてるから忙しいんじゃない?』


どこから漏れた情報かはわからないけれど、女の子の言葉は正しかった。