キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

屋上に着くと、日向くんはいくつかのパンをあたしに差し出した。


「奥山が好きなの選んでいいから」


「えっ?」


「はやく」


「でも……」


「3秒以内に選ばなかったら俺が全部食うから。1、2……」


「わかった!! 選ぶよ!! 選びます!!」


あたしは迷わず大好きなクリームパンを手に取った。


「でも、本当にあたしがもらっちゃってもいいの?」


「あぁ」


「ありがとう、日向くん」


日向くんの言葉に甘えて、あたしは大好物のクリームパンを頬張った。


「おいしい!! 日向くん、本当にありがとう!!」


思わず笑みが漏れる。


その隣で、あぐらを組みながらメロンパンを頬張る日向くんは、あたしを見てくすっと笑った。