京ちゃんはお弁当の包みに視線を移したあと、


「これでよければ一緒に食べようか」


と、包みを持ちあげた。


「ううん!! 大丈夫だよ。あたし、今から買ってくるから京ちゃん先に食べてて?」


「今からじゃ間に合わないかもよ? 一緒に食べようって」


「大丈夫だよ。ありがとう! じゃあ、行ってくるね!!」


クルリと背中を向けて走りだす。


 「花凛!」と京ちゃんがあたしを呼ぶ声がする。


聞こえていたのに聞こえていないふりをして、あたしは足を速めた。