でも、それが特別かと聞かれればきっとそうじゃない。


日向くんは人気者だし、あたしだけが特別なわけがない。


「もしかしてパン買いに行くところ?」


購買まであと少しというところで突然、前から来たクラスメイトが声をかけてきた。


「うん」


「なんか今日、配送の手ちがいがあってパンが届いてないんだって。あたしたちも今買いにいったんだけど売ってないの。購買のお弁当もほとんど売り切れだって」


「え……。そうなの?」


「うん。でね、急きょ近くの移動販売のパン屋さんに頼んだみたい。もう校庭にきてるみたいだから、なくなる前に急いで買いにいったほうがいいよ?」


「そうなんだ……。わかった。ありがとう!」


クラスメイトにお礼を言って、京ちゃんのほうに向き直る。


「京ちゃんどうする……って、京ちゃんはお弁当があったね」


購買でパンを買うあたしに付き合って、京ちゃんはいつも購買横の食堂で一緒にお昼を食べてくれている。