キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

あたしが小学生のとき、父と駅前に遊びにいったときのこと。前から強面の金髪の若者が歩いてきた。


眉間にしわを寄せたお兄さんは、ポケットに手を突っこみながら体を揺らして歩く。


サラリーマン風の男性が、彼に冷たい視線を浴びせてスッと道を譲る。


すれちがいざま父を見てお兄さんは、


『あっ!!』


と声をあげた。


思わずびくっと体を震わせたあたし。


怖いお兄さんにからまれてしまうのではないかと、心配して父を見あげると、父はお兄さんを見つめて目を細めて笑った。


『久しぶりだなぁ』


『やっぱ、奥山さんだ!!』


強面のお兄さんは細い目をさらに細めて笑った。