キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

――また思い出してしまった。


5年前、あたしがまだ小5だった頃のことを。


目をつぶると痩せ細った父の弱々しい姿がよみがえる。


 症状が出て病院へ行き、診断がついた頃には父の病気はもう末期で手のほどこしようがなかった。


そのため、父は病院ではなく家で残りの時間を送ることになった。


『花凛、手を貸して』


体は小さくなってしまったのに、父の手のひらはあたしのものとはちがって分厚くて大きくてとても温かかった。


父の手に触れると、父は優しく微笑みながらギュッとあたしの手を握る。


昨日よりも握力が弱っている気がした。


その手のひらを握りしめながら、


『お父さんの手って温かいね』


そう言ってあたしは笑った。