キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

あたしは日向くんに巻きこまれてなんていない。


たしかに消しゴムを貸してって頼まれたけれど、そのあとのやりとりを続けたのはあたしの意思。


さっきのピンチを救ってくれたのも日向くん。


日向くんだけが悪いんじゃない。


だから、日向くんだけを廊下に立たせることなんてできない。


「あのっ」


「なんだ、奥山」


「あたしもしゃべりました」


あたしがそう言うと、日向くんがその場に立ち止まった。


ゆっくりと振り返り、あたしを見つめる。


「は?」


先生はわけがわからないという表情を浮かべる。


「あたしもしゃべったんです。だから、あたしも廊下に立ちます」


先生が驚いたように瞬きを繰り返す横を通りすぎる。


教室中がざわつく。


なぜか楽しそうにクスクスと笑う日向くんに続いて、あたしは廊下に出た。