キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

「あぁ、これ。消しゴム。忘れちゃって奥山に借りてただけ。奥山、ありがとな」


日向くんは表情ひとつ変えずに涼しげに答えて、あたしに消しゴムを差し出す。


おそるおそる手のひらを差し出すと、日向くんはそっとあたしの手のひらに消しゴムをのせた。


「日向、お前なにか隠してるな? さっき床に落ちたのは消しゴムじゃないだろう」


「いやいや」


「ごまかしても無駄だぞ?」


「先生が見まちがっただけだって」


日向くんは表情ひとつ変えずに言い返す。


「俺が見まちがえるはずないだろう!!」


「いや、先生結構いろいろまちがってることしてるじゃん」


「俺がなにをまちがった!?」


日向くんの言葉に苛立つ先生。


教室中が日向くんの動向に注目する中、日向くんはまっすぐ黒板を指さした。