キミを想えば想うほど、優しい嘘に傷ついて。

日向くんは机に肘をついて、手のひらに顎をのせてあたしの様子をうかがっている。


あたしの動揺を見透かしているような余裕の表情。


どうしよう……。


日向くんのいる右側の頬が急に熱くなる。


キュッと唇を噛んで動揺を抑えようとする。


人気者の日向くんに番号を聞かれたからって、そんなにあせることじゃない。


日向くんが番号を聞くのはあたしが特別だからじゃない。


たまたま隣の席になったから。


それ以外ありえない。必死に自分自身に言い聞かせる。


『090-××××-××××だよ』


書き終えて紙をたたみ、隣の席の日向くんのほうへ投げようとした瞬間、


「――おい、奥山」


教壇にいる先生が、突然あたしの名前を呼んだ。


思いがけないことにびくっと体を震わせる。