彼女は害虫を見るような目で僕の後ろを見ている。
どうやら奴らがいるのが嫌過ぎてさっきから声も出ないらしい。
「君、両手を上げてこちらを向きなさい!その手に持っている赤いものはなんだ!?」
「茉莉ちゃん、もしかして僕以外のヤツは害虫にしか見えないの?僕と一緒だね!フフッ、嬉しいなあ」
警察の声を無視して一歩近づく。
「いやっ、来ないで!」
「大丈夫、大丈夫。僕もずっとそうだったんだよ」
「いやっ、助けて!!!!」
また一歩近づく。
「これから二人で生きていくのに害虫が邪魔だけど茉莉ちゃんは優しいから許してしまうんだと思ってたけどやっぱり邪魔だったんだね」
「助けて!!!!!!!!!」
一歩後ずさりする茉莉ちゃんにまた一歩二歩と近づいて目の前に立つ。
「でも大丈夫。僕らが二人で逝けばいいんだよ。どこまでもずぅっと何も縛られずに生きていけるんだ」
そういいポケットに閉まっていたナイフを取り出し腕を上げる。
「たすけっ.........「大丈夫、僕もすぐ逝くからね」
彼女の心臓を刺す前にこちらへ駆け寄ってくる警察官が横目に見えたが思い切り指す。
そしてそのまま自分のも刺して僕らは息を止めた。