奏汰は俺の手話を最後まで見届けて「バカが」と呟いた。

『待っていてとは言わない。1年掛かるか2年掛かるかわからない。だけど、LIBERTEは解散しないでほしい』

我が儘だと解っていた。

迷惑だろうと思ってもいた。

でも、歌うことを諦めたくはなかった。

「勝手にしろ」

拓斗と奏汰は吐き捨てるように言いながら、俺の肩を抱き寄せた。

翌日から、俺は着々と留学手続きを進めた。

父に留学を願い出ると、一瞬苦い顔をされたが、目的を明確に話すと承諾してくれた。

父はマンハッタンで有栖川グループの支社長をしている姉夫婦に連絡を取り、住まいの手配や編入手続きをしてくれた。

留学中の学費や生活費、治療費なども諸々全額、面倒を看るとも言ってくれた。

LIBERTEのマネジャーにも留学の話をし、事務所から許可ももらった。