あ、あ、あ愛してる

高校生になって「LIBERTE」が軌道に乗り、留学の話は悉く活動を理由に断っている。

「喉の治療やリハビリ、ボイストレーニングも兼ねて、あなたは留学するべきだわ。悪い話ではないはずよ。歌いたいんでしょう!?」

エマの荒らげた激しい声に、俺は吃音しながら「歌いたい」と叫んだが、空気が不規則に漏れ、嗄れてひどく掠れた声が僅かに出ただけだった。

「本当に声が……それに酷い吃音」

エマの目が俄かに涙で滲み、赤くなった。

泣きたいのは俺の方だと思う。

エマにハンカチを差し出すと、エマは「もう1度、あなたの歌声を聞きたい」と、俺の手首をギュッと強く握りしめた。

瞳から溢れ出た涙が、エマの頬に一筋流れた。

――今日の演奏の出来しだいで君の評価が変わる

マネジャーの言葉を思い出した。

希望を拓くのは自分自身だ、チャンスは俺の目の前にある、迷っている場合ではないと思った。