あ、あ、あ愛してる

アルトやメゾとの響きも、県大会の時とは断然いい。

――あたしたちは必ず、全国大会に行く。和音くんに勝利を知らせるんだ

終始、そう思いながら歌った。

――花音、がんばれ

歌いながら、何度も和音くんの声が聞こえた。

自由曲「ROSE」の歌詞が胸に迫る。

――凍えるような冬の雪の下でも、種は太陽の愛を浴び、やがて訪れる春に薔薇という名の花を咲かせる

小さな頃から吃音に苦しみ、喋れない自分と戦ってきた和音くんの姿が思い浮かんだ。

手術をしたからといって、すぐに声が出るわけではない。

暫くはリハビリをしなければ、元のようには歌えないのかもしれない。

手術をして、本当に吃音が治るかどうかもわからない。

和音くんは一生懸命戦っているんだと思った。


――がんばれ、和音くん

あたしは祈るような気持ちだった。