あ、あ、あ愛してる

拓斗は無言で、俺の頬を思い切り殴った。

「甘えてんじゃねえ。まだ治る見込みがないと言われてもいないのに、落ち込んでんじゃねえ。それに、もしダメでも手術すれば可能性があるのに、諦めんな」

険しい顔で俺を叱責した。

「花音たちはお前の思いを連れて全国大会出場を勝ち取ろうと、必死で練習してる。お前を元気づけようと頑張ってるぜ」

連日、事務所に届くファンからの手紙や応援の品々を大事そうに抱え、病室に持ってきて「お前にはお前を待っているファンがいる」と、熱く語る。

声が出ない不安、歌えない不安と恐怖が頑張ろうと思うたび、闇のように心を覆う。

回診のたび、切開した箇所の消毒と付け替えられるガーゼ、数日置きの検査と問診は、頑張ろうという気持ちを削ぐ。

不安を払い押し退けるために、病室で歌詞と曲をひたすら書いた。

思いを歌詞にぶつけ、譜面に曲を書き捲った。

寂しさと孤独と悔しさと怒りを書き殴った。

そんな中、関東大会前日。

医師から意外な言葉を聞かされた。