「もしよかったら、2人で入りますか?」
え…?
黒瀬の意外なセリフに驚く。
「でも…私、まだ休憩入ってないし…」
「僕が代わりに受付やっておきますから」
「けど…」
「じゃあ、お願いしようかな」
私が迷っていると、マコトくんが爽やか笑顔でそう言って私の手をとる。
「あ…マコトくん…」
「黒瀬がああ言ってるならいいじゃない。じゃあ、よろしくね」
マコトくんは黒瀬にそう言うと、私の手を引っ張ってさっさと不気味な字で書かれた『おばけ屋敷』という看板が飾られた教室に入ってしまった。
ガラッ
バタン
!
勢いよくドアが閉まり、ビクンと体が少し跳ねる。
いきなりドアが閉まるのは、そう言う演出なんだけど…。
どうしてわかってるのにドキッてしちゃうんだろう。
でも…
繋がれた手が緊張を少し和らげてくれる。
「やっぱり嫌だな…」
「え?」
マコトくんのセリフに聞き返す。
「莉子ちゃんがあいつと暮らしてるって。クラスまで同じで…委員会までも同じって」
「あぁ…ごめんね」
うす暗い教室の中を歩きながらそう言う。
「ううん。莉子ちゃんは悪くないから。俺が嫉妬しちゃうのがいけないんだ…でも…すごくよくできてるね!このお化け屋敷!」
マコトくんが、話題を変える。
「うん!マコトくんに楽しんでもらえるように頑張ったから!」
「ありがとうっ」
そんな会話をしながら、この暗闇の中を歩くと、黒瀬といったお化け屋敷を思い出しちゃうし、この間この教室で黒瀬に抱きしめられたことを思い出す。
別にどうでもいいのに。
黒瀬のことなんて考えなくていいのに。
マコトくんといて、時々黒瀬を思い出してしまう。



